新型コロナウイルスの影響が長引く中、やむを得ずリモートワークに切り替える企業や、リモートワークへの完全移行を検討している企業が増えていることは本記事をご覧の皆さまもご存知の通りです。
こうした中、候補者が企業へ実際に来社しておこなう面接が「不要不急」であるという風潮は日に日に強くなり、候補者からすれば「こんな状況下でも来社させるのか」と不満を抱きかねず、企業側としても「無理して来社させてよいのか」という問題があるため、現在数多くの企業でオンライン面接へのシフトが進んでいます。

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例えばマイナビが昨年実施した「2022年卒 学生就職モニター調査」では、ライブ形式のWEB面接を受けたことがある割合は90.0%にのぼり、対面式の面接を受けたことがある割合(71.0%)を上回る結果となりました。コロナ前には考えられなかった変化が、急ピッチで進んでいることが分かります。
オンライン面接では、何を尋ねるかがより重要に
こうした中、実際にオンライン面接へ移行した企業では、現場で面接をする面接担当者から、このような声が上がっています。
- ウェブ面接で候補者に深い質問ができない
- ウェブ面接で会社の魅力を伝えられない
- リモートに合わせた面接官教育ができない
- 面接官ごとに面接力にばらつきがでる
これらの課題を解決してオンライン面接を成功させ、会社に優秀な人材を迎え入れるためには、従来の面接と同じ手法を取るのではなく、まずはオンライン面接ならではのメリット、デメリットを見極めて、時代の変化に対応していく必要があります。
オンライン面接のメリット
- 大人数の応募に対応しやすい
- 交通費や人件費などのコスト削減
- 面接官が時間や実施場所を調整しやすい
- 求職者のコロナ感染への不安を払拭する
- 対面に比べて圧迫感が伝わりにくい
まずオンライン面接では、WEBカメラ等を通じて面接を行なうため、応募者にわざわざ面接会場まで来てもらう必要がありません。対面の面接に比べて短期間で実施できますので、採用スケジュールの早期化、効率化にも効果的なので、昨今の社会情勢を考えれば、これは大変大きなメリットです。
また応募者が好きな場所で面接を受けることができ、企業側も面接会場のコストや求職者の交通費を削減することが可能です。地方に住んでいる人や忙しい人も面接に参加しやすくなるため、人材発掘や応募者の増加につながります。
さらに、従来の対面面接には「何を聞かれるんだろう」などと圧迫感を感じていた応募者も、オンライン面接にはより安心して参加する傾向があるようです。
オンライン面接のデメリット
- 表情や雰囲気、細かい仕草が対面に比べて把握しにくい
- カメラに映っている範囲しか見えない
- 会社側としても、社内の雰囲気を伝えにくい
- 深く魅了付けして志望度を引き上げることが難しい
- 回線や機器トラブルなどで面接が円滑に行えないリスクがある
一方でオンライン面接における最大のデメリットは、対面のようなリアルなコミュニケーションが難しい、という点です。
対面の面接では、質問に対する回答だけでなく、求職者の表情や仕草、雰囲気、ちょっとした行動なども判断材料となりますが、オンライン面接では主に応募者のバストアップ(または顔のみ)が写った画面を見ながら質疑応答を行ないます。
そのため、表情や雰囲気がわかりづらかったり、画面に映っている範囲しか見えなかったりと、対面に比べて判断材料が少なくなり、また面接官の表情なども求職者に伝わりづらいため、コミュニケーションにはかなり気を遣わなければなりません。加えてオンライン面接システムの使い方や、回線トラブル時のフォローも必須です。
オンライン面接を行う際の注意点
このように対面面接とは異なる点も多いオンライン面接ですが、これを成功に導き優秀な人材を迎え入れるためには、どのような点に注意するべきでしょうか?以下にオンライン面接ならではの注意点をまとめて見ました。
クリアな発声で話す
映像を通してのコミュニケーションは、お互いの会話のテンポや熱量を掴みにくくなります。映像や音声の遅延も起こりうるため、口早に返答すると相手と音声が被ってしまうこともあります。
Web面接では相手との会話のタイムラグがあることを想定して、ゆっくり間を置いてコミュニケーションを取ると良いでしょう。ヘッドセットを利用していない場合は、パソコンが音声をしっかりと拾えていない場合もあるため、声に抑揚をつけてはっきりと発声することが望ましいです。
また、「もし聞き取れなかった場合は、遠慮なく言ってください」と一言伝えておくだけでも、求職者側との円滑なコミュニケーションにつながります。
情報量が少ないことを認識しておく
対面の面接では面接中常に、相手の全身や雰囲気、細かな動作などが情報として入ってきます。しかし先述の通り、オンライン面接ではカメラに映った顔と上半身の一部ぐらいしか視覚情報がありません。
例えばカメラに映らない部分での貧乏ゆすり、手癖や足癖、入退室などのちょっとした動作などからわかるマナーや気遣いなどが、オンライン面接では把握しにくく、またカメラ越しで見える部分が限られると、清潔感などの要素も見抜きにくい場合があります。ふとした仕草などを見かけたら、それが何を意味するのかをこれまで以上に想像力を働かせて考える必要があります。
また、例えば対面での接客や商談、交渉などコミュニケーションが重要業務となるようであれば、オンラインとは別に対面面接を実施するなどの選考フローは必須と考えておいた方がいいかもしれません。
リアクションをオーバーに取る
対面での面接がない場合、Web面接での印象がイメージに大きく影響します。
画面越しに互いの顔が見えていたとしても、相手の話に対してまったくリアクションがないと、求職者にとっては自分の話が伝わっているのかわかりづらく、不安になることもあります。大きくうなづく、声を出して反応するなど、普段よりもリアクションをオーバーに取りましょう。
また、メモを取りながら面接を行う場合には、「メモを取りながら話を聞くので、タイピング、メモ音が聞こえると思いますがご了承ください」や「メモを取っているため、目線がずれますが」などと求職者に断りを入れておくと、なお良いでしょう。
質問の項目を吟味する
上記の点等も踏まえつつ大切なことは、何をどのように質問者に答えてもらうか、という点をクリアにするためにも、質問の項目を事前に十分吟味しておくことです。
従来の面接では、会話の流れや応募者の反応に応じて自由に質問していく面接方法でも、求職者の身振り手振りなど多くの情報があるため、ある程度能力や人柄の判断がつきました。しかしオンライン面接では、面接官は画面越しの限られた情報のうち、評価判断の大部分を質問への回答をもとにして行うことになります。
そのため、「判断材料を引き出す」ことのできる質問設計の重要性がこれまで以上に大きくなっています。アドリブで構成された面接では、不十分な評価材料しか得られない可能性が高くない以上、「何」を「どのように」聞くのか、十分な事前準備が重要です。
具体的な質問項目例について
続いて具体的な質問項目例について、考えてみましょう。
まず一つ一つの質問は、明確な目的を持っている必要があります。一般的には次のような目的が考えられます。
- 本音を引き出すための「アイスブレイク」
- コミュニケーション能力を確かめる
- 考え方や価値観を確認する
- ストレス耐性を確認する
- 実業務とのスキルマッチを確認する
- 志望度を確認する
- 自社の「魅力づけ」をする
これらに加えて自社ならではの目的を組み合わせ、応募者に対して複数の質問を投げかけることになりますが、自社がどのようなポイントを重要視しているかや、実際に就業するポジションの業務内容によって、その組み合わせを最適化することになります。それぞれの
目的について、更に詳しく見てみましょう。
本音を引き出すための「アイスブレイク」
面接のゴールは、合否の判定に必要な情報を導き出すことです。「アイスブレイク」は面接の冒頭では一般的に行われますが、オンライン面接の場合、お互いの顔や雰囲気が見え辛いため、まずは応募者がリラックスできる状態を作ることが今まで以上に重要です。まずは応募者の本音を引き出すための「場づくりに使える」質問を。
- 昨夜はよく眠れましたか?
- オンライン面接は何度か受けたことがありますか?
- 今お住まいは◯◯なんですね。出身も◯◯なんですか?
- 今日はお仕事(学校)はお休みですか?
- 趣味は◯◯なんですね。いつ頃からやっているんですか?
コミュニケーション能力を確かめる
仕事を円滑に行う上で、不可欠ともいえるコミュニケーション能力。現在では約8割の企業が、人材を採用する際にコミュニケーション能力を重視する項目に挙げているようです。
本来コミュニケーション能力を図る際は、会話時のちょっとした「間」や目線の動き、表情なども参考になりますが、オンライン面接ではそれらを読み取ることがなかなか難しいかもしれません。そのため、応募者のコミュニケーション全般に関する基本的な考えをしっかり聞き出すための質問が望ましいでしょう。
- 上司や同僚とコミュニケーションを円滑にする上で、大事なことは何だと思いますか?
- 前職(現職)の上司や先輩は、あなたのどのような点を評価していましたか?また反対に、どのような点に、もの足りなさを感じていたと思いますか?
- 仕事仲間で苦手な人はどんなタイプですか?また、苦手な人と仕事をする時、あなたはどのように対応しますか?
- 物事に取り組むとき、一人とチーム、どちらが好きですか?
- オンラインでのコミュニケーションで、留意している点はありますか?
考え方や価値観を確認する質問
企業にはそれぞれにカルチャー(企業風土)があるため、人材を採用する上で応募者がカルチャーに共感をしているか、マッチしているかを見極める必要があります。そのためには応募者の考え方や価値観を見極める必要があります。
例えば自身の成長を重視するのか、まわりとの協調を重視するのかなど、会社と応募者の価値観がマッチすることで、離職率の減少とそれに伴うコスト削減にもつながるほか、採用選考から配属、その後の教育などにも活かすことができます。
- ご自身が成長したと実感した瞬間はありましたか?また、それはどんな時でしたか?
- 働く上で、あなたのモチベーションを高めるものは何ですか?また、何があなたのモチベーションを下げますか?
- どのような環境下で働きたいですか?
- 組織で活動する上で重要だと思うことは何ですか?
- オンライン業務でモチベーションを維持するためには、何が必要だと思いますか?
ストレス耐性を確認する質問
急速な社会環境の変化の中で、人間関係、仕事、評価などストレスを感じるポイントは人それぞれです。応募者が何に対してストレスを感じるのか、そしてストレスに対してどのように対処するかを聞くことで、セルフマネジメント力を見極めるだけでなく、採用後のサポートにも役立てることができます。
- ストレスを感じるのはどのような時ですか?
- ストレスを感じた時は、どのように発散していますか?
- 今までで最も大きかった挫折の内容と、乗り越えた方法を教えてください。
- 人間関係でトラブルになった場合にはどのように対処していますか?
- お客様から理不尽なリクエストを受けた時にどう思いますか?
実業務とのスキルマッチを確認する質問
入社後の仕事ぶりをある程度見通すためには、書類選考だけでなく面接でもスキルマッチを評価項目に入れる必要があります。例えば基本的なスキルとして「PCスキル」や「専門的スキル」のほか「ビジネススキル」が挙げられ、会社側が応募者にどのようなスキルを求めているかを明確にしておくことが大切です。
- 当社では営業などで海外とのやり取りが伴いますが、英文メールでの受け答えは可能ですか?
- オンラインの業務で生産性を高めるために、工夫していた点等はあるでしょうか?
- 業務においてExcelのようなツールを使用していましたか?使う場合、どのようなシーンで使いましたか?
- 経歴書にプロジェクトマネジメント経験について記載がありますが、内容を詳しくお聞かせください。
- ご自身で一番得意だと考えているのは、どんな業務ですか?
自社への志望度を確認する
会社への志望度が高いほど、入社後に向上心を持って仕事に向かい、早期成長につながることが期待できます。どの程度自社のこと、業界のことをを理解して働く意欲を持っているかを確認しましょう。
- 当社についてどのようなイメージをお持ちですか?
- 会社や仕事に求めることは何ですか?
- 同業他社ではなく当社を選んだ理由を教えてください。
- 入社する会社を選ぶ際の基準について教えてください。
- 希望の配属先や部署に行けない場合はどうしますか?
自社の「魅力づけ」をする
面接の役割の一つとして、自社への入社を促す必要があります。応募者自身に自社のことを語ってもらうことで、本人の納得度が高まると同時に覚悟や決意を固める手助けをします。
また、あえて率直に応募者への懸念点を伝えるという質問も。結果的に「マイナス面も理解したうえで採用したいと言ってくれている」という応募者の理解と安心感につながります。
- ご応募いただいたポジションについて説明しましたが、疑問点や不明点はありますか?
- 当社の主力商品について、より市場価値を高めるための案があれば教えてください。
- この会社で働く意義はどういうところにあると思いますか?
- 色々と応募先を比較される中で、当社の求人内容でもう少しこういうところをアピールすべきだという点はありますか?
- (応募者の評価点を伝えた上で)ただ、○○という点については懸念があります。今後どのように改善できそうでしょうか?
以上、7つカテゴリに分けて35個の質問例をご紹介しましたが、会社や応募者の状況に合わせて、これ以外にも様々な目的や質問項目が考えられます。
ここで重要なのは、一つ一つの質問の意味や目的を考えつつ、面接全体を構造化することです。面接で明らかにしたいこと、聞き出したいことを予め整理しておき、それぞれに適した質問を吟味して選ぶようにしましょう。
そしてその際に、本記事前半でご紹介したようなオンライン面接ならではの問題点についても把握の上、準備に臨むようにしてください。例えば次のような点です。
- 表情や雰囲気、細かい仕草が対面に比べて把握しにくい
- カメラに映っている範囲しか見えない
- 会社側としても、社内の雰囲気を伝えにくい
- 深く魅了付けして志望度を引き上げることが難しい
これは応募者側に限ったことではなく、面接官においても熱意や人柄が相手に伝わりにくいため、各質問の持つ意味はこれまで以上に大きくなります。その点にも十分ご留意ください。
オンライン録画面接システム「reccomms 採用」のご紹介
以上、採用面接で尋ねるべき質問についてまとめましたが、こうした質問は話題の「録画面接」でも使うことができます。
録画面接を導入するご担当者様必見!企業側のメリットや活用事例など徹底解説
https://hr.reccomms.com/news/rokuga-mensetsu/
例えば弊社では、応募者への様々な質問への回答をスタッフにオンラインで録画してもらい、その結果を一括管理するためのクラウド型ツール「reccomms・採用」をご提供していますが、こちらの利用の際に、上記のような質問を用意しておくと、スタッフ1人1人がスマホやPCでその回答を録画し、人事担当者はその録画を見ながら採用評価を行うことができます。
さらにこのツールでは、記録した録画はいつでも何度でも見返すことができるほか、社内での共有や他社サービスとの連携も自由自在。複数人による客観的な意見をもとに、リモート環境における透明性の高い採用を実現します。
また質問・回答を録画で行うため、人事担当者は時間や場所を問わず、回答結果を動画で確認することができるため、手間のかかる面接の時間調整や面談場所(会議室など)の確保も不要となり、全社的なコスト削減を実現します。
さらに動画では1人1人の表情や話し方、身振り手振りなどを繰り返し確認できるため、内面的な能力やその時の精神状況まで、今まで以上に判断がしやすくなります。
初めてオンラインで録画面接を実施する企業様にもおススメの「reccomms・採用」。ご興味をお持ちいただけるようでしたら、ぜひ以下のフォームから、サービスの詳細をご説明した資料をご請求ください。
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まとめ
成長している企業にとって、優秀な人材の採用は常に発生し続ける課題であり、どれだけ社会情勢が変っても採用の手を止めることはできません。
一方でオンライン面接が増える昨今、面接のゴールや観察のポイントはほぼ変わりませんが、これまで以上に面接官の質問スキルが重要になりました。本記事を参考に、応募者の本質を引き出し、より良い人材の採用を実現してください。